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    だからやっぱり公務員改革。

  • 2010.07.16
  • 7月15日 読売新聞配信のニュース。
    市町村職員共済連、公費で経営ホテルの赤字補填

    まぁ、ざっと説明すると、全国の市町村の職員らが加入する「全国市町村職員共済組合連合会」が、自治体から毎年拠出されている「災害見舞金」を使って、同連合会が経営するホテルの赤字補填をしていた、と。この災害見舞金、万が一災害で被害を受けた組合員に支給するためという名目で自治体と組合員の折半によって積み立てられているそうで、例えば08年度は積立額が13億円だったのに対して支払額は2.5億円という収入超過状態となっていて、この内部留保が08年度末で115億円にも達しているとか。
    さらにこの連合会が加盟している「地方公務員共済組合」も04~08年度だけで自治体拠出の公費193億円をやはり経営しているホテルの赤字補填にしていたとのこと。
    連合会は今回の件について、「内部留保額が適切なのかを試算するなど見直す必要がある」とし、「公費補填はゼロにすることを含め、今年度中に結論を出す」としている、とのコメントがあります。


    さて、問題が2つ。
    1つめは、こういった連合会や組合がホテルを経営する必要があるのか、といった問題。
    2つめは、災害で被災した「組合員」に支給するために、どうして自治体が公費から災害見舞金を積み立てなくてはならないのか、といった問題。


    まず1つめ。
    例えばこの件で問題となっている「東京グリーンパレス」を見てみると、「経営している」とされてはいますが、実際には「株式会社サンルート」が運営していると表示がされています。このサンルートはJTBグループの一員であって、全国に直営で14ホテル(総客室数4181室)、直営・FC・提携・運営受託ホテルを含めると、75のホテルを運営・経営していて、東京グリーンパレスは、いわばホテル運営のプロによってその運営のすべてがまかなわれており、連合会はただのオーナーにすぎないということがわかります。
    ちなみにその料金は、組合員か一般かで分けられているのですが、例えば7月30日(金)に「スタンダード素泊まりプラン」で宿泊するとして双方を見てみると、「喫煙スタンダードシングル」という客室で、一般は8900円、組合員は8500円と表示がされます。つまり、組合員は一般よりこの日に関しては400円安く宿泊できるわけですが、例えば同プランで7月31(土)を見てみると、一般9500円に対して、組合員は9240円。その差はわずか260円です。
    この「組合員に数百円安く宿泊させるため“だけ”にホテルを所有する必要がどこにあるのか」に関してまったく妥当な理由を見つけられません。
    ※実はこの宿泊料金にもからくりがあって、宿泊した場合には「補助」が出る可能性があるのですが……これを下で詳しく。

    ちなみに、上にニュース内にある地方公務員共済組合が経営するホテルは08年度時点でなんと91カ所もあり、そのうち76施設に共済の積立金35億円と同額の公費が投入されたとか。赤字総額は04年度以降で言えば毎年65億~97億円で、およそ40年に渡って同様の補填が行われていたというから、なんともびっくりする話。

    で、この無駄につぎ込まれた公費について、連合会の「公費補填はゼロにすることを含め、今年度中に結論を出す」といった内容からだけでは、果たして“返済”されるのかがまったく伝わってこない。“不正に”流用していたわけですよね。信じられません。


    で、2つめ。
    どうして自治体が災害見舞金を「組合員」のためだけに積み立てなければいけないのか。
    このお金はまさしく税金であって、特定の誰かのためだけに使われていいものではないはず。それがどうしてまかり通っているのかがまったくわかりません。
    これについて調べて行ったところ、2005年3月6日の四国新聞の記事に辿り着きました。
    公務員互助会への公費負担は是か非か

    記事内では具体的な事例を挙げて紹介。それによると、
    引用ココカラ◆昨年の台風や高潮被害で自宅が被災した県職員や教職員、警察職員に対して「災害見舞金」が、各職員互助会から給付されていた。(略)給付総額は232件4196万円で、うち約2000万円が公費負担分だ。1人当たりの給付額は2.5万円から64万円で、平均すると約18万円になる。一方で県民向けには全壊で最高300万円、大規模半壊で最高100万円が支給される「被災者生活再建支援法」しかなく、床上浸水被害は、そのほとんどが支給対象外。◆ココマデ
    つまり、床上浸水などの被害に対して、一般の民間人には一切の補償はないのに、公務員には自治体から“見舞金”という名目の補償がなされた、ということになります。

    で、なぜこんな公務員にだけ都合のいい悪質な事例がまかり通っているのか、と言えば、その答えも同記事内にありました。
    引用ココカラ◆県職員互助会は地方公務員法第42条「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない」に基づいて、職員の福利増進と服務能率の向上を目的に1963年、県条例を定めて設置。県の費用負担は「職員の掛け金に相当する額以内」とある。(略)事業内容は別表の給付事業(※1)のほかに子どもの入学祝い金や卒業祝い金、銀婚祝い金など多岐にわたる。地域文化の発展に寄与するため、職員文化展への補助やサークル活動助成、さらには職員家族向けのレクリエーション助成などもある。このうち、毎年、最も大きな額を占めるのが医療補助金。次いで旅行補助(※2)、慶弔金の順。◆ココマデ

    ※1
    【香川県職員互助会の給付事業例】
    ・医療補助 月額2万円以下の自己負担のうち5千円を超えた分
    ・弔慰金 本人死亡70万円
    ・家族弔慰金 配偶者または子供15万円/その他実父母など4万円
    ・療養見舞金 自宅療養で病休連続30日以上2万円
    ・出産祝い金 5万円
    ・災害見舞金 5~55万円
    ・結婚祝い金 7万円 等

    【高松市職員共済会の給付事業例】
    ・結婚給付 3万円
    ・銀婚給付 4万円
    ・勤続10年 1万円
    ・勤続20年 2万円
    ・勤続30年 3.5万円
    ・子供の中学入学 1万円相当
    ・子供の中学卒業 1万円相当
    ・会員死亡 100万円
    ・配偶者死亡 4万円
    ・父母、子供死亡 2万円
    ・罹災給付 ~30万円 等

    【県市町村職員互助会の給付事業例】
    ・結婚祝い 3万円
    ・銀婚祝い 3万円
    ・子供の小学校入学 1万円
    ・人間ドック 費用の3割
    ・在職死亡一時金 10万円
    ・退職餞別金 375円×在会月数 等

    ※2
    これがいわゆる旅行の分の補助金です。結果として公表されている金額よりさらに格安で宿泊できている可能性があるわけです。これについて公務員は「互助会の掛け金を毎月支払わされているのだから、実質的なリターンは少ない」といったことを言うわけですが、それは一般的なサラリーマンの給与から「福利厚生費」が引かれているのと同じこと。サラリーマンの場合は税金による補助など当然ありません。


    さて、で、この分の自治体の費用負担は「職員の掛け金に相当する額以内」のもとに、02年度までは100%の補助率で運用していたというのだから驚くしかありません。100%の補助率ということはまったくの折半ということ。例えば県の職員で言えば、本人が死亡したときに無条件で70万円の半分の35万円が県から給付されていたわけで、これはつまり県民たちが、「自らの意志とは関係なく」死んでしまった県の職員のために香典を勝手に支払わされていた、ということにほかなりません。加えて本人の家族なんていうどうでもいい人が死んだときですら1万~2万円が給付されることになります。これももちろん、県民が払った税金です。
    この後、これらの互助会は04年度にその補助率を52%まで引き下げたと言いますが、それでもなお税金から支払いがなされていることに変わりはありません。

    ちなみに記事内には、宮城県では厳しい財政状況に対応する形で01年度から補助金は支出しないことにした、と書かれています。「支出しなくなった」のがなんだかエライことのようにも思えますが、そもそも支出していること自体が間違いだと気づかなければなりません。

    これらはつまり、公務員の「大企業では福利厚生はごく普通に行われているのだから」といったよくわけのわからない理屈に従って維持されているわけで、それらの大企業は、そういった福利厚生を行うために自らの利益をつぎ込んでいる、つまり、従業員に本来支払われるべき給料を充てているわけです。もちろん、たしかにその福利厚生という部分に関しては、経費として売上から除かれ、課税対象とはならはいわけですから、例えば利益をすべて福利厚生費として計上して、従業員のためのホテルを経営したり、旅行代金の補助に充てたりすれば、実質的にはそれらに税金が充てられたということにはなります。ただ、民間ではもしそういった「必要以上に」福利厚生を充実させれば、必ず税務調査が入り、場合によっては追徴課税という罰が与えられることも考えられます。
    ところが公務員は違います。今回の件に関して言えば、税金逃れをしたわけではなく、もちろん、規定外の支出を行えば、それは規制されるでしょうが、それならば、と新たな規定を作ればいいわけです。それが「銀婚式」であったり、「子供の入学祝い」であったりするのではないでしょうか。
    そもそも、一般的に、国民のほとんどは中小企業に勤めているわけで、十分な福利厚生など与えられていないのが現実。公務員は「必要であるから」それだけの規模の人員が「税金で」確保されているに過ぎないのであって、ただ単に職員の数が多いからといって、社員数が多い大企業と比較するのはまったく筋が通らない話でしょう。例えば消防や警察、税務署や清掃業務、事務や土木、水道など、それらひとつひとつが民間の会社と同じ扱いであると考えればその単位はごくごく小さくなるはずですから。

    さてさて、この記事の末文はこういう形で締めくくられています。
    香川県内の7市7町では県市町村職員互助会とは別組織を作り、やはり市町から補助金を得て福利厚生を行っているという。それらのなかで、高松市は床上浸水に6~12万円を計80人に支給、丸亀市は床上浸水に6万円、車の全損に6万円など15件に支給した。
    引用ココカラ◆東かがわ市も床上浸水3万円、車の全壊5万円など46件94万円の申請があるが、公的補助の受けられなかった住民感情に配慮して給付を保留している。◆ココマデ

    躊躇するくらいなら、申し訳ないと思うのなら、最初からそんな規定を作るなよ、と。


    で、国が借金まみれで消費税増税だって言ってるわけですよ、お役人は。

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    期待はどこに向かっていたのか。

  • 2010.07.13
  • 参院選が終わって、やっぱりと言おうか勘違いと言おうか、消費税はまったく争点なんかではなかったように思います。
    やっぱりいうのは、「争点にしちゃいけないんですよ」と、「公務員制度改革こそが本丸ですよ」という自分の意見に対して。勘違いというのは。「争点になっちゃってますよ」と警告した自分の意見に対して。国民はそこまでバカではなかったということですね。
    ただ、一方で民主党内の小沢氏に近いとされる議員や幹部からは「消費税を争点としたことで大敗した。執行部の責任は重い」なんてことをおっしゃる方がいるようで、この人たちは本当になにもわかっていないようです。そもそも負けたのは小沢さん、あなたのせいでしょうが、と、あなたが強引に展開した2人擁立作戦はまんまと失敗したでしょうが、と言いたいのですが、今日はやめておきます。

    で、結果に対してどうこうは朝から晩から終始やってますのでそれに任せるとして、まぁ、それにしても国民の行革を求める声が大きいことは、民主党は自らがそれで資格保持者となったのだからわかっていたとしても、ここまで大きいとまでは想像できなかったのでしょうか。
    今回の参院選において、行革に対するポイントとなる点は、
    ・自民の勝利
     →消費税増税を言い出したのは自民党であって、国民は消費税自体に反対していたわけではなかった。
    ・みんなの党の躍進
     →「行政改革/公務員制度改革」をその旗印としているみんなの党がこれだけを支持を得たということは、とにかくそれをやってほしいという国民の声の表れであった。
    ・蓮舫氏が171万票を獲得
     →善し悪しはともかくとして、事業仕分けに対する期待度を反映している。

    で、どうするか。
    民主党の幹部を含め、議員たちのなかには、未だに「政権を取ってまだ10カ月」なんてことを言う人たちがいます。
    ところが政権をとってからのこの10カ月の間には150日間を会期とした通常国会もきちんと開催されているわけだし、民主は連立政権として、衆院、参院ともに過半数を維持していたわけで、まさに自分たちの政策を通そうと思えばいくらでも通せたはずだという事実があります。ところがこの第174通常国会においては、前代未聞の10本もの強行採決を行いながら、提出した法案は63件、そのうち成立はわずか35件という、戦後最低のものとなりました。
    しかも、こういう記事がニュースになること自体がおかしいのは、仮にその35件が戦後最低であったとしても、例えば公務員制度改革法案であったり、議員定数削減法案であったり、議員年金削減や議員報酬改定、または独立行政法人や公益法人に対する規制や罰則強化であったりするようなものであったら、国民は拍手喝采で民主党をたたえたのではないでしょうか。
    ところが実際に可決されたのは子供手当や高校無償化といったバラマキ法案であって、国に予算がないなかで強行に可決施行することは本来的に正しかったのかという疑念は尽きません。

    そもそも、民主党は、今回の参院選の比例区での当選者を見ればわかるとおり、公務員労組や自治労、労組、総連、連合、日教組といった、いわば雇用される側の人たちが加盟、参加している団体によって支持されていることがわかります。一方の自民党の支持母体は経団連。最近はその協力関係は希薄になっているとは言うものの、この経団連は基本的には会社を経営している側、いわば雇用している側の支持ということになり、自民党VS民主党という構図は経営者VS労働者と置き換えることができると思います。

    経営者は自分の得た売上のなかから、人件費や設備投資、研究費などの経費を除いていって、最終的な利益のなかから「手当て」としてのボーナスを支給したり、社員のレクリエーション施設に投資したりしたいと思うはずです。
    一方の労働者側は、会社の売上は自分たちが頑張ったからだ、との考えから、自らの給与増額、待遇改善をまず要求するでしょう。それが例え会社の経営状態が悪化しようとも、自分たちは頑張っているんだと、経営が良くないのは経営者の経営感覚が鈍いからだ、と。

    こういった考え方はかつての日本ではごく当たり前のものでした。労働者はそのほとんどが労働組合に参加し、待遇改善を要求してストを行ったりメーデーに行列を組んでデモ活動を行ったりするのもごくごく当たり前のことでした。経営者は敵、組合員は同士として、尊敬されるのは社長ではなく組合長でした。
    ところが時代は変わり、ファーストリテイリングの柳井氏やソフトバンクの孫氏、楽天の三木谷氏やサーバーエージェントの藤田氏、和民の渡邊氏など、新興会社の社長に注目が集まるようになると、その経営手腕や生き方に対して「あこがれ」を抱くような人も増えてきました。経営者が優秀であれば会社は確実に売上を伸ばし、社員の待遇は良くなるんだと、そういうことが世の中にきちんと伝わって行きました。
    日本人の性格がずいぶんと変わっていったことも影響しているのだと思いますが、デモを行ったり、ストを行ったりすることは「恥ずかしい、みっともない」ことのように思えるようになってきました。
    このような時代のなかで、労組幹部を次々と擁立し、自身に取り込んでいく民主党は、明らかに時代に逆行していると言わざるを得ません。
    労組幹部を擁立する理由、それはただ単に「当選が見込める」からに過ぎません。選挙のための政治、自民党時代にさんざん行われ、国民が最も忌み嫌う政治手法がこの党には未だ残されているのです。

    さて、今回、我々国民は、民主党に対してNoを突きつけたわけです。そのことによって、民主党では逆に上に書いたような労組幹部ばかりが当選する結果となったのは皮肉なことです。けれども、民主党は参院選の敗北から何かを学ばなければいけません。国民はそのおかしさに、わずか10カ月で気づいたわけですが、党内からは未だ「小沢氏を9月の代表戦に」などという声も挙がっているようで、この人たちが本当に何かを気づけるのは、本当に何かを学べるのはまだまだずっと先なのかもしれません。
    ただ、それまで国民は辛抱強く待ち続けることができるのでしょうか。耐えることができるのでしょうか。「国民に対して真摯に」、選挙前にはそう言い、選挙後においてもそう繰り返すその言葉を口先だけではなく、常に心に抱いて政治活動を行ってほしいと願います。

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    争点ってなんだろう。

  • 2010.07.09
  • いよいよ参議院議員選挙。
    で、一般的に今回の「争点」と目されているのが、消費税の増税。
    ところが、増税案を提示しているのは自民と民主という“二大政党”であって、その他の極小政党は基本的に増税反対だという。これについて「消費税は上げていいか/上げられたら困るか」という単純な論理で投票活動が行われるのは実はとても困ることなんですけど、YESかNOか、白か黒か、と訴えるのはとてもわかりやすいので、どうしてもこういうことになってしまいます。

    で、これに関してまず思うのは、「増税反対」と言っている極小政党の人たちについて。
    「あなたたちのやってることって“後出しジャンケン”じゃない?」

    だってまさにそうでしょう。ついこの前まで、それこそほんの1カ月前まで消費税の増税論議なんて一切なかったはず。ただ、参院選挙を控えるにあたって、民主や自民が「消費税の増税」を訴えているのは自身の政策実行のスタンスに対しての明確な意思表示であって、これ自体、なんらおかしなことはないわけです。
    「自分たちはこうやって財政再建をしますよ」
    実にわかりやすい。

    ところがところが、他政党はこれに一斉に反論。消費税増税絶対はんたーい!の大合唱。
    なんだこれ?

    そうじゃないはず。
    自民や民主が消費税増税を行うことによって財政再建や経済対策を行うとしているのであれば、他の政党も、自身は何を行うことによってこれらを実行するのかを伝えなければいけないわけで、誰かが出した案に対して反対することが自身の案というのではあまりにもお粗末すぎます。
    もちろん、いろいろ言っているのかもしれない。案を抱えているのかもしれない。けれどもそれが伝わってこない時点で、それは「言っていない」に等しいのだと、そう考えなくてはいけないはずです。もし本当に伝えたいことがあるのなら、必死になってアピールしなければいけないはずです。

    さて、で、消費税増税。
    これに対して毎日jpで、特集記事が組まれていました。
    2010攻防の夏 現実味帯びる『消費税10%』と『法人税引き下げ』

    で、このなかでも述べられていますが、いったい何のために増税するのでしょうか。

    僕はおそらく今の日本のなかで、本当に増税に反対だと考えている人はすごく少ないのだと思います。もちろん、増税に賛成だという人が多いということもないでしょうから、その基本的なスタンスは「増税やむなし」といったところ。
    これだけ国の借金が増え、社会保障費が増え、経済の低迷から税収が見込めないのであれば、それはやむを得ないという空気が流れるのは必然。勤め先の売上が低下しているのであれば給料がカットされてもやむを得ないと考えるのと同じ論理です。
    ただ、その使い途に対しては一言言わせてほしいよ、と。単に増税するだけじゃ嫌ですよ、と、こういうことなのではないでしょうか。

    まず、どうして5%なのか。
    国債や借入金などのいわゆる「国の借金」の総額は882兆円だと言われています。この内訳を見ていくと、国の国債累積額は720兆円、2010年度の新規国債発行額は44兆円(財務省の試算では、2011年度は51.3兆円になると見込まれているとも)です。2010年度に国債費として20.6兆円が使われる予定で、うち9.8兆円が利払いに、10.8兆円が債務償還に充てられています。
    これを消費税でなんとかしようと計算してみます。
    消費税を1%上げて増える税収はおよそ2兆円。だとすると、5%上げれば10兆円の歳入増となります。この消費税の増額分を全額国債の返済に充てると考えます。

    改めて整理してみると、国債発行額は44兆円、そのうち、9.8兆円の利子と10.8兆円の債務返済、さらに10兆円分が債務返済に充てられるとすると、年額23.2兆円ずつ国債残高は増えていくことになります。この23.2兆円にも利子がかかってくるので、単純に現状の9.8兆円の利払い費で利子が全額償還できていると仮定すると、国債720兆円の利子が9.8兆円から計算すると、その利率は年1.36%ということになります。となると、増加する年額23.2兆円に関しては利子だけでも年額3155億にも達します。

    で、まったく現状維持のまま国債発行額を44兆円、利子返済額を9.8兆円、債務償還を10.8兆円+増税分10兆円として計算すると、29年後には国債発行総額は1500兆円に、50年後では2300兆円に達します。ちなみにこのときはその利子だけで31兆円となり、税収分が利子だけで食いつぶされるのも時間の問題です。さらに現実的には社会保障費は年額1兆円ずつ増加していくと見られていますので、その状況はもっと酷いものとなるでしょう。
    だとすると、とにもかくにも国の財政悪化をなんとか止めるのだ、とするのならば、国債発行額の44兆円と同額の歳入増とならなければいけはいはずで、先の消費税1%で2兆円という計算から導くと、22%増税で44兆円の税収が見込めるわけですから、消費税率は27%が基準ということになります。もちろんこれには社会保障費の増額分は含まれていませんし、これを実行したところで国の累積赤字は1円も減りません。
    本来22%の増税をしなければいけないのに、5%の増税しかしないのであれば、それこそ「焼け石に水」。なにもしないよりはマシかもしれませんが、したからといってその効果はごく限定的です。

    で、です。
    これまでは増額分が全額国の借金解消に使われること前提で話してきましたが、実際はまったくそんなことはないようで、この増えると見られる10兆円に関しての使途は一切明らかにされていません。それどころか、法人税は引き下げられ、食料品などの必需品は増税されなかったり、低所得者には還付がされたりということを考えれば、まるまる10兆円が歳入増となるわけでもなさそうです。

    となるとますますわからなくなる増税論議。どうして増税しなくてはならず、それらはなんのために使われるのでしょうか。

    どうしても増税しなければいけないのであれば、まず大前提として、いくらの増税が見込めるか、なにに使うのかを示さなければいけないはずです。それによって、税の使い途を我々国民が監視できるようになるわけですが、とにかくこの選挙に関してはそこが示されておらず、曖昧なままで投票行動に移らなければいけないことが本当に残念です。
    普通に考えれば、お小遣いが足りなくなって親に新しく借りるのであれば、「何に使うのか」を明示することはごくごく当たり前のはず。そんな単純なことができないのは、やはり財務省をはじめとした官僚に「細かなことはこちらでやりますから」と操られているのではないかと勘ぐりたくもなるものです。

    で、唐突に関係のないニュースを持って来ますけど、日経の7月9日のニュース。
    前原国交相、空港整備協や建設弘済会の解散表明 天下り解消狙う

    まぁ、簡単に言えば、天下りの温床となっている公益法人を解体するという、事業仕分けを拍手喝采で迎えた一般人から言えば、ごくごく歓迎できる話なわけですが、実はここにも落とし穴がありました。
    それはつまり「3年後をめどに解散する見通し」というところ。この件に関して、前原国交相は4000人以上の職員の再就職などを考えると、との発言をしているとの報道もありますが、どうして単に無駄遣いをしていて、それが元で解体される職員の再就職の面倒まで考えなければいけないのでしょうか。民間だったら、即日解雇で済む話、それが3年ですから、これは現実にはその3年で「看板の付け替え」を行うという意思表示と取れると思います。

    で、で、戻って。
    つまり官僚達の考え方は、あくまでもこの「看板の付け替え」に過ぎないのでは、と僕は考えています。消費税というところに手を付けて税収を確保するけれど、単にそれを借金の返済には使わずに、さまざまな形を変えさせて結局無駄遣いするつもりなんだろう、と。
    その無駄遣いを事業仕分けなどで一見やめさせたように見える民主党。ところが本丸であるはずの公務員制度改革には結局手を付けずで……。まぁ、そういうことです。

    最後に。
    22年度における公務員総数は295.8万人。その人件費総額は27.6兆円だそうです。
    民主党の先の総選挙におけるマニフェスト、「公務員人件費2割削減」では、国家公務員の人件費5.3兆円から1.1兆円を削減するとしています。これは即ち、給与の削減ではないのですが、それでもこの2割削減という目標数値を、国家公務員・地方公務員に当て嵌めることができれば、それだけで5.5兆円の削減が可能です。まぁ、一方で天下り対策として60歳定年を65歳定年に引き上げるとかいうまったく公務員にしか得とならない政策もブチ上げていて、逆に総人件費は上昇するなんて話もありますが……。

    とにかくやっぱり公務員。
    大変申し訳ないんだけど、この人たちをなんとかしないと、日本に未来はありません。「みんなの党」が支持率を伸ばしているのも、本気で公務員制度改革をやってくれるだろうとの期待を集めているからではないでしょうか。
    となると、本来は民主党が反故にした公務員制度改革こそが争点でなければならないはずだったのではと考えるわけで、都合良く「消費税が争点にさせられた」と思うと残念でなりません。

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